物より、人でした。入院が決まった日の手順(生きていく手順書 Vol.12)
私は、怪我で2回、入院したことがあります。
そのときの私は、働いていて、耳ももう少し聞こえていて、家に帰れば家族がいました。
いまの私は、ひとり暮らしで、難聴が進んで、療養中です。 同じ「入院」でも、条件がぜんぶ変わっている。
だから点検しました。いまの私に入院が決まったら、何に困るのか。
持ち物。リストの最後に「心の持ち物」を
2回の経験から、私の持ち物リストはこうなります。
■ スマホと充電器 ■ パソコンと、Wi-Fi(病院のネット環境は事前に確認) ■ 遠近両用メガネ ■ 保険証・お薬手帳・診察券(私はいつものショルダーバッグに一式)
そして、リストの最後にこれを足したいのです。
■ 寂しさの代替になるもの
入院すると、家族との連絡が減ります。夜の病室で、それが思ったよりこたえる。 本でも、音楽でも、書くものでも。「時間をつぶすもの」ではなく「心を保つもの」を、ひとつ。
ちなみに、2回の入院で「あってよかったもの」の一位は、物ではありませんでした。 家族の面会です。これは、あとでもう一度書きます。
難聴のこと。入院した日に、真っ先に伝える
昔の入院のとき、私の難聴は「ささやき声が聞こえづらい」程度でした。だから困らなかった。
いまは違います。窓口の手続きや仕事にも支障が出る段階になりました。 病棟は、説明と呼び出しの世界です。先生の説明、検査の呼び出し、消灯後の声かけ。いまの私なら、確実に困る。
だから、決めています。
入院した日の、看護師さんの最初の面談で、真っ先に伝える。
「耳が聞こえにくいです。説明はゆっくり、正面からお願いします。呼び出しに気づけないことがあります」
聞こえにくさは、見た目では伝わりません。最初に言葉にしておくことが、入院生活ぜんぶを楽にします。
身元保証人。「誰に頼むか」には軸がある
入院の手続きには、たいてい「身元保証人」の欄があります。
私は、家族に頼みます。 選ぶ軸は、理解力と、思いやり。書類の意味を分かってくれて、私の意思を尊重してくれる人。近さや年齢よりも、そこで選びます。
頼める人がいない方へ。 保証人がいないことだけを理由に入院を断らないよう、国から病院に通知が出ています。困ったら、**病院の相談室(医療相談・ソーシャルワーカー)**に相談してください。ひとりで抱える問題ではありません。
お金。「ネット銀行しかない」私の穴
医療費そのものは、前回書いた高額療養費で「月の上限」があります。そこは大丈夫。
点検で見つかった穴は、別のところにありました。
私は、ネット銀行しか持っていません。
もし、スマホもパソコンも操作できない病状になったら。 家族は、私のお金を1円も動かせません。通帳も、窓口も、ないのですから。
白状すると、この不安から、私はパソコンのパスワードを外そうと考えたことがあります。 でも、それは間違いでした。守りを弱くすると、別の危険が入ってきます。
答えは、守りを外すのではなく、鍵の渡し方を決めておくことでした。
■ パスワードの控え(私はパスワード管理アプリ)の**「緊急キット」を封筒にして、信頼する家族に渡しておく** ── 亡くなったあとのためだけでなく、「生きているけど操作できない」ときにも働きます ■ 現金の封筒を家にひとつ(家族が立て替えなくて済む当座のぶん) ■ 支払いをできるだけ自動化しておく(家賃・光熱費・通信費が引き落としなら、私が動けなくても家は回る)
ひとつ正直な注意を。銀行の規約では、口座の操作は本人が行うのが原則です。 だからこそ「家族が代わりに操作する」を前提にせず、自動化と現金で、そもそも操作が要らない状態を作っておくのが、いちばん安全な備えだと思います。
物より、人でした
2回の入院で、あってよかったものの一位は、家族の面会でした。
持ち物リストも、保証人の欄も、お金の段取りも、突きつめると同じところに行き着きます。 誰に、何を、先に頼んでおくか。
備えの最後は、物ではなくて、人と段取りなのだと思います。
この記事も、未来の私と、同じ場所に立つあなたへの手順書です。
ぼちぼち、いきましょう。
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ゆるら(透析看護師歴20年)
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