専門は、専門に。紹介状と転院の手順(生きていく手順書 Vol.13)
一通の紹介状の話をします。
その紹介状は、宛先の先生のところでは使われませんでした。 それなのに、私を最後まで守ってくれました。
紹介状は、「病院同士の速い言葉」
紹介状の正式な名前は「診療情報提供書」といいます。 病名、経過、飲んでいる薬、検査の結果。あなたの医療情報が、医療者の言葉で正確に書かれた手紙です。
透析室で20年働いて、この手紙の力を何度も見ました。
新しく来られる患者さんの紹介状のおかげで、うちで扱っていない薬剤や物品を前もって取り寄せることができて、間に合ったことがあります。 逆に、情報が少ない患者さんを受け入れるときは、スタッフみんなが身構えました。何が起きるか分からないからです。
紹介状は、儀礼の紙ではありません。受け入れる側の準備の速さと正確さが、まるで変わる手紙なのです。
私の紹介状の物語
私はリウマチで通院しています。その先生は、私が持参する検査結果を、毎回ていねいに説明してくださる方でした。
あるとき先生が、心臓と血管のことを一度きちんと確認しておきましょう、と紹介状を書いてくださいました。心を尽くした、ていねいな手紙でした。
ところが事情が変わって、予定していた先ではその検査を受けられなくなりました。
宛先を失った紹介状。ふつうなら、ここで終わりです。
でも私は、近所の循環器内科をネットで探して、その紹介状を持って、飛び込みで受診しました。
結果は、驚くほどスムーズでした。 宛名が違うにもかかわらず快く受け入れてくださり、紹介状に私の病状が初診時から細かく書かれていたおかげで、その日のうちに頸部エコー検査をしてくださった。そして、心配していた数値は正常範囲だと分かりました。
専門用語で書かれた正確な情報は、専門家に、いちばん速く届く。 宛先に届かなくても、中身はずっと、私のための情報だったのです。
紹介状の扱い方。3つだけ
■ **封は、開けない。**中身は医療者同士の言葉で書かれています。開封すると受け取る側が確認に困ることがあるので、そのまま持って行ってください ■ **紹介状は、あなたの大事な書類。**渡されたら、なくさない場所(私ならいつものショルダーバッグ)へ ■ 大きな病院に紹介状なしで初診にかかると、特別料金(数千円)がかかります。まず、かかりつけの先生に相談して紹介状をもらう順番が、体にもお財布にもやさしい道です(金額は病院によるので確認を)
かかりつけは、ネットで見つけてもいい
正直に書きます。私のリウマチの先生も、心療内科の先生も、ネット検索で見つけました。
「ネットで探すなんて」と思う方もいるかもしれません。でも、私は2回とも、大成功でした。いまも感謝しています。
大事なのは入口ではなく、通いはじめてからの相性です。 説明してくれるか。話を聞いてくれるか。合わなければ、変えていい。紹介状は、そのときの引っ越し荷物にもなってくれます。
検査結果は、自分で持ち歩く
もうひとつ、私の習慣を。
働いていた頃の定期の血液検査の結果を、私はリウマチの先生に毎回持参していました。 すると先生は、毎回ぜんぶの項目を説明してくださった。心臓の確認の話も、その積み重ねから生まれました。
自分の体のデータを、自分で持ち歩く。 それだけで、医療との対話が変わります。紹介状がなくても、検査結果のコピーが「小さな紹介状」の働きをしてくれることもあります。
専門は、専門に頼みましょう
20年、医療の中で働いて、私の結論はシンプルです。
専門は、専門に頼みましょう。
心臓のことは循環器の先生に。関節のことはリウマチの先生に。こころのことは心療内科の先生に。 そして、その橋を渡してくれるのが、紹介状です。
この記事も、未来の私と、同じ場所に立つあなたへの手順書です。
ぼちぼち、いきましょう。
───────────────
ゆるら(透析看護師歴20年)
▼ あわせて読みたい