「知る」と、安心。耳が聞こえにくい私の、ひとり暮らし防災手順(生きていく手順書 Vol.6)
防災の話は、いつも「音」から始まります。
防災無線。警報音。避難所の館内放送。
でも、私の耳には、それが届きません。 私は両耳が聞こえにくく、ひとり暮らしで、療養中です。
この記事は、そんな私が「もしも」に備えて、自分の防災を点検した記録です。 先に白状すると、点検したら「あると思っていたもの」が、ありませんでした。
私の聞こえ方のこと
補聴器は、退職してからは、普段は外したままです。 付けるのは、受診のときと、役所などの手続きのとき。
補聴器の聞こえ方は、たぶん想像と違います。 雨の日に補聴器を付けて傘をさすと、傘に当たる雨音だけが、大音量で響くのです。 必要な音だけを選んで大きくしてくれる魔法の道具では、ありません。
だから私の防災は、「音をどう聞くか」ではなく、**「音の代わりに、何で気づくか」**から始まります。
夜の警報には、「振動」と「人」で気づく
夜、寝ているあいだに大雨や地震が来たら。 耳が頼れない私の答えは、この2つです。
■ 振動。スマホの緊急速報の通知を設定して、枕元にバイブ設定で置いて寝る ■ 人。災害のとき、離れて住む家族と姉から、安否確認のLINEが届く
スマホが命綱なので、本体の充電は、マメにしています(心配性なので、もともとマメです)。
家族に「災害のときはLINEして」と、あらためて頼んでおくこと。 これも立派な防災です。聞こえにくい人の防災は、ひとりで完結させなくていいのです。
点検したら、「あると思っていたもの」がなかった
モバイルバッテリー、持っているつもりでした。
点検して、思い出しました。 バッテリーの発火のニュースが続いて不安になったとき、捨てていたのです。
スマホが命綱なのに、停電したら充電できない。 「あると思っていた」は、備えの中でいちばん多い落とし穴だと思います。点検しなければ、気づけませんでした。
買い直すときの目印も、調べました。
■ PSEマークがあるもの(国の安全基準を満たした印。発火が不安な私には、これが安心材料) ■ 残量が数字で見えるタイプ(「あとどれくらい」が見えると、心配性でも落ち着けます)
持ち出し袋。今日は「3つだけ」入れた
持ち出し袋も、ありませんでした。
だから今日、大きめの軽いリュックに、まず3つだけ入れました。
■ 補聴器の予備電池。避難所は館内放送と呼び出しの世界。補聴器が命綱になります ■ 常用薬の数日分と、お薬手帳。療養中の人は、水や食料より先にこれです ■ メモ帳とペン。聞こえない場面での筆談用。メモ帳の1ページ目に「耳が聞こえにくいです。筆談をお願いします」と書いておくつもりです
「ぜんぶそろえてから」と思うと、重くて動けなくなります。 今日は3つだけ。残り(充電ケーブル、買い直すモバイルバッテリー、保険証のコピー、水、小さいライト、ホイッスル)は、ぼちぼち足していきます。
ちなみにホイッスルは、声より小さい力で遠くまで届きます。 返事が聞こえなくても、こちらの居場所は伝えられる。聞こえにくい人にこそ、の道具です。
避難所を、はじめて調べた
正直に書きます。避難所がどこか、知りませんでした。
「お住まいの市区町村名+避難所マップ」で検索すると、すぐに出てきました。 近くの避難所を見つけて、Googleマップのリンクをスマホに保存しました。
名前を暗記するより、地図のリンク1本。 迷っても、地図アプリが案内してくれます。これがいちばん実用的な形だと思います。
「知る」と、安心しました
点検してみて、なかったものが2つ(モバイルバッテリーと持ち出し袋)。 知らなかったことが1つ(避難所の場所)。
昨日までの私は、それを知らないまま暮らしていました。
避難所の場所を知る。袋の中身を知る。夜に気づける仕組みがあると知る。 まだ完璧ではないけれど、「知る」と、安心しました。
不安は、正体が見えないときにいちばん大きくなります。 点検は、その正体をひとつずつ見に行く作業でした。
この記事も、未来の私と、同じ場所に立つあなたへの手順書です。
ぼちぼち、いきましょう。
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ゆるら(透析看護師歴20年)
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