失業保険は、逃げない。受給期間延長の手順(生きていく手順書 Vol.2)
働けない状態で退職したとき、頭をよぎった心配がありました。
「失業保険って、働ける人がもらう制度。今の私は働けない。じゃあ、私の権利は消えてしまうの?」
答えは、消えません。 「受給期間延長」という手続きをしておけば、失業保険は待っていてくれます。
Vol.1で「傷病手当金の終わりの日」を数えました。 今回はその続き。私が実際にハローワークで延長申請をしてきた記録です。
受給期間延長とは。権利を「眠らせて守る」手続き
失業保険(基本手当)は、ふつう退職の翌日から1年以内に受け取り終える決まりです。
でも、病気やけがで働けないあいだは、その1年の時計を止めておけます。 働けない期間のぶん、最長3年。もとの1年と合わせて、最長4年待ってもらえます。
つまり、いま働けなくても大丈夫。 体調が戻って「働きたい」と思えた日に、そこから失業保険を受け取り始められるのです。
いつ申請できるか。ここだけ「1か月待つ」のイレギュラー
退職後の手続きは、たいてい期限が短いです。 健康保険の切り替えも、年金の手続きも、「14日以内」「2週間以内」など、とにかく「早く動く」が正解の世界。
ところが、この延長申請だけはイレギュラーなのです。
延長を申請できるのは、働けない状態が30日続いたあとから。 つまり「早く行っちゃダメ。1か月待ってから」なんです。
「早く早く」で駆け抜けてきた頭から、この1件だけがぽろっとこぼれ落ちる。 だから、忘れやすい。
私の場合、退職が10月末。そこから約1か月たった12月のはじめに、ハローワークへ行きました。
正直に書くと、私は忘れる可能性のほうが高い人間です。 だから「申請できる日になったら、すぐ行く」をタスクにして、カレンダーに入れておきました。
申請の期限は今はゆるやかになっていて、延長後の受給期間の最終日まで申請できることになっています。 でも、遅れると受け取れる日数が減ってしまう場合があります。
だからおすすめは、これです。
申請できる期間の、初日に行く。
忘れそうな自分を知っているなら、先にカレンダーに書いてしまう。それがいちばん安心です。
退職前にやった準備。表紙チェックリストとファイリング
じつは、この手続きがすんなり10分で終わったのには、下ごしらえがあります。
退職を決めた日から退職日を迎えるまでのあいだに、事前準備をやりまくりました。
■ 手続きをひとつずつ書き出す(健康保険・年金・傷病手当金・ハローワークなど) ■ それぞれの必要書類と「いつやるか」を調べる ■ 1枚の紙にチェックリストとしてまとめて、表紙にする ■ 手続きごとにファイルを分けて、書類をファイリングする
当日は、該当のファイルを1冊持って行くだけ。 頭が働かない日でも、表紙のチェックリストが「次はこれ」と教えてくれます。
体調に波がある人ほど、元気のあるうちの下ごしらえが効きます。
持ち物リスト。私が持って行ったもの
■ 心療内科の診断書(コピー) ■ 離職票1と2 ■ マイナンバーカード ■ 退職証明 ■ 印鑑(持って行ったけれど、不要でした)
働けない理由を証明するものとして、診断書を持って行きました。 細かい持ち物は地域や状況で変わることがあるので、事前にハローワークへ電話で確認しておくと二度手間になりません。
窓口での流れ。伝えたのは、この一言だけ
窓口で伝えたのは、これだけです。
「延長申請の手続きに来ました。書類を持ってきました」
これでちゃんと通じました。むずかしい説明はいりません。
あとは案内されるまま、その場で「受給期間延長の申請書」を記入。 呼ばれてから終わるまで、7分から10分くらいでした。
手続きが終わると、離職票2に延長の書き込みがされて、証明印が押されます。 離職票そのものが「延長ずみ」の証拠になるのです。
持ち帰る、大事な紙が3枚ある
家に持ち帰ったのは、この3枚でした。
■ 離職票2(延長の書き込みと証明印入り) ■ 受給期間延長の通知書 ■ 就労可能等証明書
3枚目の「就労可能等証明書」に、注目してほしいのです。
これは、いつか延長を解除するとき、つまり「働けるようになりました」とハローワークに伝えるときに、医師に書いてもらう用紙です。
未来のための用紙を、先に渡してくれる。 「次の一歩」の道具を、もう手の中に持っている。そう思うと、少し心強くありませんか。
3枚とも、なくさない場所にしまって、どこにしまったかをメモしておいてください。 私はスマホで写真も撮っておきました。
難聴の私と、待合室の話
じつは、手続きそのものより大変だったことがあります。待ち時間です。
私は両耳に難聴があって、補聴器を使っています。 呼び出しを聞き漏らさないように補聴器をONにしたまま、1時間。 人が密集した待合室の、たくさんの音と動きがぜんぶ飛び込んできて、動悸がしそうでした。安定剤を飲んでいても、です。
でも、呼ばれてみたら、奥の静かな個別コーナーに案内されました。 ちゃんと、落ち着いて話せる場所が用意されているのです。
聞こえの不安がある方、人混みがつらい方は、受付の時点で「呼び出しが聞こえにくいので」と伝えてみてください。 配慮してもらえる場所が、ハローワークにはあります。私は伝えずに1時間がんばってしまったので、これは次の私への申し送りでもあります。
失業保険は、逃げない
延長の手続きが終わって、いま思うことはこれです。
失業保険は、逃げない。
働けないいまの私を責める制度ではなくて、「働けるようになるまで待つよ」と言ってくれる仕組みでした。
だから、働けない状態で退職したあなたに、ひとことだけ。
申請できる期間の、初日に行ってください。
その10分で、あなたの権利は数年ぶん、守られます。
ぼちぼち、いきましょう。
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ゆるら(透析看護師歴20年)
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